Tektronix 2784


Tektronix 2784 スペクトラムアナライザ  100Hz〜40GHz


・ヤフオクでまたもやスペアナを落札した。これでスペアナは4台目である。(汗、汗。こうなれば病気だ!)
・これは40GHzまで見えるやつなので、ウオッチしていた。
・不具合箇所は2nd LOがロックしないとある。
・事前にいろいろ調べると、2nd LOは二つある。9.5GHzと3GHzである。リファレンスは100MHzOSCで作っている
のでレファレンス不良かもしれない。
・掲載されている写真でCAL出力を自分で見ているところがあるが、波形は出ていない。
・このCALはリファレンスから作っているので、リファレンスが発振していない??
・いや、ロックしていないので波形が見えない??
・9.5GHzか3GHzが発振していないのかも?
・それとも発振周波数がずれ過ぎてロックしないのかな。これ(R3361C)みたいに。
・なんとかなるだろう。と気合で落札してしまった。(これが一番高価)


・品物が届いたので早速しらべてみた。
・事前にダウンロードしたサービスマニュアルでは、0〜6.5GHzはIFが10.025GHzでLOは9.5GHzである。
・6.3GHZ〜12.775GHzはIFが3.525でLOが3GHzである。


・まずは周波数範囲を7GHz〜10GHzに設定すると、「2nd LO Not Locked」は出ない。
・周波数範囲を6.5GHz以下にすると「2nd LO Not Locked」と表示がでる。
・CALの100MHzは規定どおり−20dBmに合っている。
 (この信号は別のスペアナで確認した。スペアナを修理するにはスペアナが必要である)
・どうやら、9.5GHzがロックしていない。
・このままでも6.5GHZ以上であれば使える。(オイ)

・さて、今度の休みに修理にトライするか。


10月23日(金)
今日は会社は休みなので(サボったのではありません!)、修理にトライする。


Not Lockedの表示を写そうとしたが、写らなかった。


カバーをはずしたところ。
右上が2nd LOの部分。


中央の赤と黄色の線が接続されたブロックが目的の9.5GHz発振部のようだ。
SMAコネクタを外して発振出力を確認したが、信号が出てない!!
発信器の不良だ!!(汗)


発振部の蓋を開けたところ。
蓋は接着剤付きシートで強固に接着されていた。
あけてびっくり玉手箱!
DRO発振は予想通りだが、回路はチップ部品でない!
半導体チップ(いわゆるベアチップ)をボンディングして金線(およそ25μm)で配線をボンディング
している。触ったらアウトである。
慎重に虫眼鏡で観察すると電源線になにやら回路が入っている。


2009.11.16スケッチ図を追加
・小さくて写真が撮れないのでスケッチした図をパワーポイントで描いたので追加する。


チップの形状と配線から以下の回路であると想像できる。


この回路の先の電圧を測定すると、−12V側がきていない。負側の回路不良のようだ。
この回路は正と負の電圧を同時に印加する回路のようであるが、片側がこわれているので+12Vだけ
印加されている。
負側の回路をチップ部品で組んで入れようとトライしたが、狭いし小さいし、他の回路にさわっておしゃか
になりそうだったのであきらめた。
どうしようかと考えたが、とりあえず負側の回路をバイパスしてみよう。
すでに片肺運転をやっているし、同時印加が守られていない。同時印加でなければ壊れるものであれば
すでに壊れているであろう。
と言うことで負側の回路をバイパスして直接電源が行くようにした。


さて、とりあえず仮組して発振出力を見えるようにして電源を投入してみた。
発振出力が出た!!!

でも、レベルが低いし、周波数は8GHz近辺だし、これでいいのかなあーー。

とりあえず、SMAコネクタを接続して組み立てた。

再度電源を投入して、祈るような気持ちで立ち上がるのを待っていると・・・。

画面が出てきた・・・・。Not Lockedは・・・・・・・・・。

出ない!!

どうやらロックしているようである。


CAL OUTを見ると、ちゃんと見える。−20dBmで規定どおりだ。

SSGにつないで信号を見た。ちゃんと見える!(下の写真)


・やったーーー。直ったどーーー。

・あのバイパイスで良いのだろうか。外付け回路でも作るかな。
・このままでは気持ちが悪いので、外付け回路でも作って入れよう。


・アメリカ製の機器を修理するには、以下のような工具をそろえておくとよい。
 インチサイズの6角レンチ、トルクス用ドライバ。今回のTektronixはトルクスネジがあった。
 このドライバがなければ分解できなかった。
 (写真の「インチ」が見づらいが、5/64サイズである。大小一通りそろえてある。)


・CAL信号を入れてU.S.AのQserviceから購入したOPEマニュアルを見ながら操作の練習をしていた。
・マニュアルといえば、最近はpdfマニュアルはダウンロード方式ですぐに購入できる。
・このスペアナのマニュアルをWebで見つけたので買い物籠に入れて、ダウンロードを選んで、PAYPALで
 支払い手続きをすると、数時間後にメールでURLとID,PASSを連絡してくれる。
 そこへログインしてID,PASSでダウンロードできる。
 (ダウンロードできても出来なくても24時間で消去するとかいてあった)

10月24日(土)
・LOの外付け回路を入れようと思ったが、スペースが狭い。元に戻せるような、コネクタ中継での改造にしようか
 と考えたがスペースが・・・。
・もともとLOはCPUで3GHzと切り替えで動作しているので、CPUの指令で同時に電源はONしているのでは
 ないだろうか?
・波形を観測してみた。

・このような波形が採れた。上側が+12V、下側が−12Vの波形。
・やはり同時にONしている。



・ではOFFは?
 こんな波形である。−12Vの切れるのが25mS遅れている。
 同時に切れようとしているようだが、再度ONしている(なぜ??)




・ONは同時なので問題無いが、OFFの−12Vの遅れはなにか問題になるだろうか?
 発振回路とアンプの回路が分からないのでなんともいえないが、逆に問題になる回路
 を考え付かない。GaAsのFETだとマイナス電源を使うが、マイナスが無いとアウトになる
 ことを考えると、もうすでに壊れていても不思議ではない。
 この壊れた回路が保護回路だとは考えにくい。

・そう、つまりこのままとすることにした。

・さて、いろいろ操作しているとRESBWが10KHzで表示がおかしい。
・波形が変だし−20dBmに達していない。
・どこか調整箇所があるのかと、再度ばらしてみたが、どこにも調整箇所は無かった。


・どこかのメニューに自動キャリブレーションがあるのかな?
・メニューとマニュアルをにらめっこして探し当てた。
・自動キャリブレーションが有る。
・早速実行すると


 この様な波形になった。


・むふふ、うまくいった。
・しかし、この結果を覚えているのだろうか?
・電源を入れなおすと元に戻った。???
・そういえば左側にSTOREボタンがある。これかな?
・再度キャリブレーションして(20分くらい待つ)、STOREボタンを押して、レジスタ番号を選んでENTERを押して
 記憶させた(つもり)。
・電源を入れなおしてみる?
・元に戻った。
・レジスタを読み出す。設定は呼び出されたが、肝心の波形は直っていない。


・もう一度マニュアルをよく読むと自動キャリブレーション結果はEEROMに記憶するとある。えっ、どうやって。
 さらによくみると、自動キャリブレーションボタンの下にSTOREのボタン(というかファンクション方式なので表示)が
 出ているらしい。でも画面には無い。
・さらによく読むと、SERVICEMODEで出ると書いてある。


・SERVICEMODEちゃなんね。マニュアルをさらによく読んでも書いてない。
 (英語のマニュアルなので疲れる・・・)

・もしやと思いSERVICEマニュアル(これは無料でダウンロード)を探しまくると、CPUボードのDIPSWに設定がある
 ことが分かった。

・またもや分解してCPUボードのDIPSWの該当するところを切り替えた。
・もとに戻して、少し通電して安定したところで、自動キャリブレーションを開始した。こんどはしっかりとSTOREのメニュー
 がでている。
・キャリブレーションが完了したので、STOREボタンを押す。STORE完了したとメッセージが出た。
・恐る恐る電源を入れなおすと・・・、元には戻らない。ちゃんとキャリブレーション結果が反映されている。
 これで一安心。


・さて、手元の3逓倍5GHzアンプにSSGから1.8GHzを入れて5GHz台の信号を見たが、感度が悪いのか良く見えない。
・えーー、HPだと見えるのにぃー。
・これがHPの画面。


・Tekだとこんな画面である。かすかに見えるが・・・。
・表示方式が違うので合わせてみよう。


・表示方式というかデータサンプリングモードを合わせるためにMAXモードに切り替えてみた。
・それらしい波形になったが、信号の見え方は今ひとつ。



・うんん、RESBWが違う、VidBWも違う。HPは3MHzに9KHzなので、マニュアル設定で切り替えてみる。
・Tekではそれぞれ3MHzと10KHzの設定となる。
・まあまあかな?
・おや!アッテネータが30dBになっている。自動だとこのような値に自動設定される。うーーん安全設計??



・HPのアッテネータは手動しかないので通常10dBにしている。
・Tekのアッテネータも10dBに切り替える。
 おお!、HPよりも良く見える。
 しかし、いちいち手動設定しなければならないのは面倒だな。
 しばらく使ってみるか・・・。
 でも画面が小さい。HPの方が大きくて見やすい。


10月25日(日)
・SERVICEマニュアルを読んでいると、1stミキサは通常−30dBm入力だと書いてある。つまりREFレベル−ATT=MIXレベル(−30dBm)
 となるように自動設定されるようだ。(REFレベルが−10dBmだとATTは20dB、REFレベルが0dBmだとATTは30dB)


・ミキサのオーバードライブ(OVERDRIVE)と言う設定があるようだ。これで10dB単位で設定できる。そうするとこの設定だけMIXレベルを大きく
 するように自動設定される。たとえば20dBと設定すると、REFレベルを0dBmにするとATTは10dBになる。
・この設定をすればHPと同様になるが、オーバードライブと言うのが気にかかる。とりあえずは何もしないでおこう。


11月3日
・しばらく使っているが問題無く使えている。
・SSGの出力を測定してみた。カウンタモードをONにして周波数を測定した。





・どちらもGPSでロックした10MHzをREFARENCEに使っているのでぴたりと一致している。
 一致すると気持ちが良い。(同じREFなのでGPS云々にかかわらず、一致するのは当たり前だが・・・。)

 


戻る