Tektronix 2782


Tektronix 2782 スペクトラムアナライザ  100Hz〜33GHz
の修理


2014年2月

2784のところで書いたように、2782を修理して動作させる必要が出てきた。
確かにこれは電源が入らない。よーく観察すると、AC100VにつないだときにCPUが起動しない。
いままでさんざん2784の電源入り切りしてきたが様子が違う。
現在の機器と違って、この当時の機器はAC100に接続するとCPUが起動して、電源ボタン操作待ちになる。(同時にOCXOにも通電される)。
そこでCPUボードの5V電圧を測ったら、4.5Vしかない。これを5Vに合わせたら、あっさり起動した。
2784からこっちに移植したCRTを調整して画像出してみた。
しかし、LOがロックしていないと表示が出る。2784の時と同じだ。しかし、これがいけなかった。原因も同じと思い込みLOの発振器(DRO)をばらした。

でも、どこも不良個所は無かった。
???どこだろう。しばらく悩んでREFかなぁと調べると、ビンゴ!。100MHzOCXOが発振していない。
基板を引っ張り出し調べると・・・・。

電界コン(ケミコン)の液漏れであった。
コンデンサを交換。他の基板も調べたが1枚はすでに交換してあるようだ。その他には見当たらなかった。

ようやくLOがロックして信号が見れるようになった。
写真を撮り忘れたが、フラットネスデータも問題無い。


2015年9月
棚の上のパワーセンサーを取ろうとして、うっかり手を滑らせた。
センサーはスペアナの全面をカスルように落ちた。ガツンと音がしたのでどこかに当たったようだ。
よーく見ると、な、なんと画面が割れている。と言うかヒビが入っている。画面のガラス(液晶シャッター)にヒビが入っているのだ。(やれやれ)
当たったのはプラスチックのベゼル(カバー)だが、角が当たったようでガラスに衝撃が届いたらしい。
これ以上ヒビが大きくならないように表面にタブレットPCの液晶保護フィルムを張り付けた(当然大きさを合わせて切り抜いた)。
写真のKEYPADの文字のADの少し上のへこみが当たった場所だ。


これで以前から考えていたLCD化計画が具体化しそうな雰囲気になってきた。


2015年12月
しばらく使えていたが、突然起動しなくなった。電源が入らない。5Vがずれたかと思ったが、電圧が全く出てこない。
ヒューズを調べると切れている。おやおや。ヒューズを交換したが、通電したとたん切れた。
おやーー、電源壊れた!。電源を分解したが、回路図が無いので良く分からない。スイッチング用のパワーFETが8個もついているがどれかお亡くなりなったかも。
とりあえずFETを10個注文した。じつはこれはいつもの早合点だった(私の悪い癖)。
FETが届くまでに回路を調べようといろいろテスタで当たっていたら、どうやらパワー回路(電源整流後の+と−)が短絡している。やっぱりFETがどれか短絡しているのだろう。
と、調べたが、どうやらそうではなさそう。
どれか短絡した部品があるのかぁ??。部品をひとつづつ外してしらべると・・・・驚愕の事態が!

写真の真ん中辺りの基板の色が変わっているところがどうやら短絡しているようだ。



黒い抵抗につながるパターンが表面ではなく少し内部を通っている。これが整流後の+ラインだ。
基板変色部をめくってみた。

内部は黒焦げ、炭化している。やっぱりここで短絡している。この+のパターンの下にグランド(−)パターンがあるようだ。
絶縁不良でじわじわと焼けたようだ。
実は以前(1年くらい前)にちょっと焦げ臭いにおいがしていて、一度分解したことはあった。ただ、ここ(変色部)にはCTが取りついていて基板は見えない。
結局原因がわからにまま、臭いもしなくなったので、そのまま使っていたのである。

この変色部のパターンを切り取ったところ、短絡現象はなくなった。切ったパターンはジャンパした。

これで復帰した。(えっ!FETは? 大丈夫でした。買ったFETは部品箱へそのまま。補修品ということで。)


2015年12月
一旦はよくなったが再び画面がでなくなった。高電圧回路が壊れたかと思ったがそうではないようだ。となるとビデオアンプかもしれない。ビデオアンプはTEKのカスタムICが使ってあり、そう簡単には手に入らない。
これでいよいよLCD化計画を進める決心がついた。

1.画面データの取出し。
2.LCDの大きさとドット数
3.画像処理の方法

を考えなければならない。

1.画像データの取出し。
 CRTに画像(絵)を描く方法は画像処理ボードでディジタルデータをDAコンバータでアナログ電圧に変換してXYオシロに描く方式となっている。
マニュアルでは10bitDAコンバータでアナログ変換してるようだ。
ここから信号を取り出す。
それとこのスペアナはカラーシャッターを駆動して緑、赤、黄色の3色を作っているので、その信号DIGCOLORも取り出す。
また、CRTのビームをON/OFFして不要な線が画面に出ないようにする信号DIGBLANKも取り出す。
それとDA変換信号CONVERTも必要である。



ところが画像処理ボードを取り出して観察すると、なんとDAコンバータは12bitであった。(右端のIC2個)


そのうち10bitしか使っていないとか?
それを調べるためにロジックアナライザを接続して信号を観察した。結果12bitフルに使っている。うーーんなんだかなぁ。マニュアルと違うぞ。後で改良したのかも??

2.LCDの大きさとドット数
 LCDの大きさはCRTの置き換えで今のところへ嵌め込まねばならない。4:3の5.5インチがちょうどよさそうだが。
最近はワイドの16:9が多い。ヤフオクであさっていると、4:3の5.6インチLCDとVGAビデオボードが出品されていた。ドット数は320x240である。
ちょっと粗いが仕方ないので落札した。

3.画像処理方法
 次に悩ましいのが画像処理である。DAデータを読み込んで、LCDのドット位置へ変換してメモリに記憶しておいて順次ビデオ信号として出してやらねばならない。
VGA信号で出すにも1ドット(ピクセル)40ns(25MHz)で出す必要がある。いままで使い慣れたH8CPUなんかではとても処理が間に合わない。FPGAでハード処理するしかなさそうだ。
FPGAなんて使ったこと無いぞ。でも仕方がない、これもヤフオクでSPARTAN-3Eの練習ボードを落札して、FPGAの勉強を始めた。やれやれいつ完成するやら。


2016年1月
 FPGAボードで遊んでいる。VGA信号を使ったゲームのサンプルを作ってみた。昔々のピンポンゲームだ。ボールをひたすらパドルで打ち返すゲームである。これで少しFPGAに慣れてきた。
ヤフオクをみていると5.7インチLCDで640x480ドットの入った機器(モニタ)が出ていたので落札した。若干大きいかもしれないが640x480ドットは魅力だ。

 練習ボードは巨大なので、スペアナの中に入りそうにない。小さいので安い(FPGAはなぜか皆高価だ)のを探していたら、SPARTAN-6とSDRAM搭載の小型のボードがあったので落札した。
さっそくIF基板を作成。FPGAボードとDAなどの信号接続するための基板と、DAなどの信号5VとFPGAのIO信号3.3Vをレベル変換する基板を作成。レベル変換基板は壊れたビデオアンプボードを外した跡地へ入れる。
FPGAボード


さて、ソフト、じゃないハード?を作成せねば。


2016年1月
 画像の読み書きタイミングを考える。VGA信号でLCDへデータを出力するので、画像信号640ピクセルデータを、ピクセル出力直前に1ライン(640ピクセル)分読み出す。読み出したあとはクリアする(0データを書き込む。後に0ではなくBLUEのデータを描くようにした。)


1ラインデータ読み書きは上の写真の四角を描いた右側となる。1ラインデータ読み書きしていないときは、2782から送られた画像データをひたすらメモリに書き込む。
開発言語は迷ったが、見た感じ取っつきやすいVerilogにした。C言語というかPASCALのような言語である。
でもなかなかうまく動作しない。ソフトウエアのつもりでプログラム(と言うのかなぁ)を組むと思ったように動作しない。
Verilog入門の本を買って勉強しながらのプログラミングである。
プログラミングしたステップはハード回路となり同時実行となることを意識すれば、分かりやすいことに気付いた(と言うかそう説明してある)。
FPGAに慣れた人が読んだら爆笑もんだろう。

画面の写真は無いが、取りあえず動作するようになった。画像データをメモリに書き込むところがのろいので画像がちらつく。また、データの読み書きミスがある。
なぜ、データの読み書きミスがあるかというと、このSPARTAN-6はメモリ読み書きブロックが無い。他のグレードは内蔵されていて、それを使うと完璧に動作するはずだが。このグレードは自分でメモリ読み書きを作成しなければならない。このFPGAを買ったときにSDRAM読み書きサンプルが付いていたので、それをベースにした。サンプルなので単に読み書きしてLEDを光らせるだけである(とりあえず動くレベル)。
SDRAMのデータシートをダウンロードして読み書きのやり方を勉強しつつ、サンプルを改造した。SDRAMはアドレスが2つに分かれていて2回出す必要がある。ROWとCOLUMNである。ROWアドレスとコマンド(読む、書くなど)を出したあとデータを読むまでの待ち時間(CAS Latency)がある。これはパソコンのSDRAMに書いてあるCL=3とか言うやつである。この待ち時間があるので、1つ1つデータを読み書きするとSRAMよりも遅くなる。しかしROWを変えずにCOLUMNだけ変える場合は待ちなしとなる。するとSRAMよりも早く読める。サンプルの読み書きはこの仕組みが入っていない。上の図の1ラインデータ読み書きはCOLUMNだけの変化となるので、高速に読み書きするようにプログラムを改造した。さらに通常の読み書きでも同一のROWアドレスの場合は待ち時間なしとなるように改造した。
いろいろ改造したので若干早くなったのであろうが、時々データが化けるのである。しかも早くなったとはいえ、全体的にはやはり遅いのである。


2016年1月
 やっぱり処理が遅いので、早いFPGAで価格もそこそこなものを探していたら、(ツ)さんに良いのがあった。
さっそく購入。



制御ブロック図である。図には書いてないがVGAタイミングからビデオ読み出し、FIFO読み出しタイミング信号も出している。



早速表示してみた。
ん〜、なんだかなぁ。こんなもん??。
いやいやどこかロジックがおかしいのだろう。なにせ初めてのFPGAだから・・・。




2016年5月
 FPGAの勉強をしていて5月になってしまった。ずっと画像データの書き込みがまずいと思っていたのだが・・・・。いろいろテスト回路を作って試して行くうちに、どうもバックカラー(青)の連続書き込みがまずいことが分かってきた。
分かってしまえば当たり前のことが分からずに悩んでいた。
まずいところを修正すると・・・・
おお〜、画面が出た!!




バックの青が明るすぎるので、少し暗くしてみた。それらしい画面になったが、ぷつぷつとノイズらしきものが見えてきたぞ。


2016年5月

 とりあえず画面ができたので、2782へ納めるように加工する。
このままでは横幅が大きいので両側をカットする。
黒い部分をカットすれば、丁度画面枠に納まるのだが・・・・。
黒の部分は前半分でその下は白い。まず黒い部分をカットしたところで驚愕!下からバックライトが出てきた。しかも両側!
下の方に1本のバックライトだろうと思っていたがあてが外れた。(ヤレヤレ)バックライトを切り落とす訳にはいかない。
黒い部分をカットしたので全面はプラスチックケースに納まるが、後ろ半分はCRT保持金具と干渉する。
が、仕方ないので金具を加工した。

何とか無理やりではあるが納まるようになったので、テストで表示させて見た。
赤の表示をさせてみたところである。なかなかいい感じでしょう(自画自賛)。


さて、本体へ基板を納めなければ。
写真の右上の自作基板がレベル変換基板だ。最初に入れたのはその下のスロットのVRがたくさん付いた基板(ビデオアンプ)の場所だ。ビデオアンプは不要なので外した。
しかし、ビデオアンプが無いとエラーが出る。電源投入時に1回程度であれば、気にするほどでも無いが、何かを設定する毎(例えばスパン変更、レベル変更など)にエラー表示がでる。少々せからしいので、ビデオアンプ基板は装着して、その隣の高圧基板の場所に設置した。

FPGAボードはCRTを抜いた跡地へ


VGAボードはその隣へ設置。


全体像はこんな感じ。



組み込んだのを正面から見る。
上の方から撮影するとバックが青っぽくなってしまった。正面から見るとそうでもない。

さて、ぶつぶつと出るノイズを何とかしなければ。
データにノイズがのっているのか、それとも・・・。データの取り込みはCONVERT信号でタイミングをとっているのだが・・・はて?。
CONVERT信号にノイズがのっているのかもしれない。
プログラム(?)を変更してCONVERT信号取り込み回路を、いわゆるチャタリング防止回路に変更した。
ほとんどノイズの無い画面になった。(動画だと良くわかるが、写真だと今一つ・・・)


さて、画面が直ったので、2−20GHzのスイーパ出力をモニタしたところ。
おや〜
信号の縦線がドットになっているのは、そういうデータだから。CRTだとビームが走るので線になるが、LCDだとビームが走らないのでドットになる。
じゃあ上の画面は線になっているって?。それはドットがくっ付いているだけ。試しにドットをくっつける処理(回路)を入れてみたが処理時間が増えてフレーム数が落ちてカクカクした画像になるのでやめた。線を引くとは、言うは易しで、結局LCDの場合はドットを並べなければならないので、それだけ処理クロックを消費する。
問題はそれではなく6GHz辺りから信号が無いことである。

いろいろ調べたところYTFに電流が流れていないことに気付いた。6GHz以上からYTFを通すようになっている。やれやれ一難去ってまた一難。
早速分解する。する。


YTFドライブユニットをはずす。おや、FETの足(基板上の端)が変色しているぞ。


基板外したFET。調べると短絡している。基板外して気付いたが、FET取り付けネジが緩んでいる。ヒートシンクへ熱が逃げきれず、高熱破壊したようだ。だから足が変色しているのだ。
しかし、この構造では上のATTがじゃまでネジの弛みが確認できない。なんだかなぁ・・。


早速FETを取り寄せて交換した。


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