スペアナ MS710C

えっ!またか!って。そうなんです。病気です。


2012年4月某日
例のTEK2784が不調となった。画面がまったく出ない。電源入り切りしていたら、そのうち電源切りができなくなった。何かエラーでも出ているのかもしれないが、画面が出ないので全く判らない。画面が出ないのは高圧回路かと思ったが高圧は発生しているようだが・・・、CRTのヒータは・・・OK。高圧発生かいろのトランジスタを外してみたが・・・壊れてない。
念の為に代替トランジスタに交換してみたが・・・・、電源を入れて数十秒後にパチン!と音がして、トランジスタがお亡くなりになった。高圧はひとまず置いておいて、後ろのXYZ信号をオシロにつないで何か絵でも出るかと思ったが・・・・。何も出ない。
サービスマニュアルはあるが、ここを調べてダメならこの基板を交換しろある。基板の回路図は無い。あれこれ調べるポイントが書いてあるが、最終的にダメならサービスマンへ電話しろと書いてある。チェンジニアサービスマンを呼ぶためのマニュアルらしい。
回路を解析しつつ修理すると1年以上かかるかもと思っていた矢先・・・。
オクにMS710Cが出品された。トランスバータの製作を進めるにはスペアナが・・・と思っていたところに都合良く・・・。
まずは、サービスマニュアルがあるか調べた。英語だがマニュアルがあったので早速ダウンロードして回路を調べた。
設計が古いのでさすがに手書きの回路図だが、回路はわかりやすく、部品も特殊なものはほとんど無く、壊れても修理できそうな感じだ。
・・・と言うことで落札した。

これがそれである。


まずは例によってFANの交換である。この当時のファンは音が大きい。これも例に漏れず音が大きい。
早速パソコン用のFANで風量の同じものを手配した。風量が同じでも現在のFANはずいぶんと静かである。
ついでであるので底板を外すと、長年の埃が・・・。これは内部がいじられてない証拠でもある。




・FANが届いたので早速交換だ。左が元付いていたもの、右が新しいFANである。当然FAN用の電源も追加する。




・FANが静かになったところで、いろいろ動作を調べていたら、30kHz帯域の波形が良くないと分かった。早速サービスマニュアルを見ながら調整箇所のトリマコンデンサを回すと・・・。おや、おや接触不良のようだ、調整しようとドライバを当てると波形が乱れる。・・・と言うことで今度はトリマの調達だ、怪しいと思われるトリマを調達することにした。

・トリマが届いたので交換した。
上の方に見えるトロイダルのコイルのそばのオレンジ色のトリマコンデンサ(3個)である。


・トリマを交換して調整すると今度はうまく調整できた。さらに動作を調べると・・・。PLLが時々ロックしない。とくに周波数をダイヤルを回して変更するとPLLのロックがはずれる。PLLはYTOとVCOのPLLがある。よく調べるとYTOのロックがはずれるようだ、しかも約17MHz離れたところへロックする場合もある。この場合はPLLアンロックの警告は出ないので気づかないが、画面上の信号がどこかへ消えて無くなる。
経年変化でだいぶ調整が狂っているのだろう。PLL関連の部分をサービスマニュアルに従って再調整したところ正常に動作するようになった。
ちなみに17MHz離れたところにロックするのは別のスペアナで観測して気づいた。やっぱりスペアナを修理・調整するにはスペアナが必要である。

どうして17MHzほど離れたところにロックするのか・・・・。回路図と動作説明から理解した内容を書くと。まずYTOに設定したい周波数のn分の1で17MHz台の周波数を計算する。いわゆるリファレンス周波数である。VCO発信器を17MHz台の計算でだした周波数にPLLでロックする。この17MHz台の信号を20dBmくらいに増幅して周波数逓倍器(中身はコムジェネ)でYTOの周波数帯を出力する。ただし、コムジェネなので17MHz台の整数倍の信号が並ぶことになる。この信号とYTO出力をミキサにいれると、YTOの信号−17MHz台x(n+1)で17MHz台の信号が出てくる、ほかに(n+2・・・)なども出てくるので17MHz台だけフィルタで抜き出し増幅する。これと先のVCOの17MHz台の位相差をとってYTOの制御信号とするPLL方式である。今ならYTOの信号を分周するのであるが・・・。このような動作であるので、YTOの信号をおおざっぱに目的周波数の±17MHz以内に合わせておかなければならない。これをYTOのMAINコイルで合わせるのだが、ここがずれると17MHzずれたところへロックしてしまう。

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