HP-8569B


HP(Agilent)8569B 0.01〜22GHz スペクトラムアナライザ


・ヤフオクでまたもやスペアナを落札した。これでスペアナは3台目である。(汗)
 「1:SweepTimeSWの故障。2:REF Level 切替えSW接触不良」とのことで、波形の出ない写真が掲載されていた。この機種はSWの接触不良が特有の故障であることは、熊野谿さんのホームページで見たのでSWの機械的不良だと決め付けて(危険だが)入札した。結果、R3361Cよりも安く落札できた。と言っても設計時期が古いので妥当かもしれない。

・現物が届いたので早速チェックした。
 
・やはりSWの接触不良である。しかし、波形は出る。いずれにせよSWの修理からトライだ。



・このSWはSW単体を取り付けたのではなく、基板のパターンでSW電極を構成し、可動部を基板に当てるように組んである。SW単体を取り外すわけには行かない。基板ごと分解しなくてはならい。

・SW部はパネルごと外れるはずだ。上下のそれらしきネジをはずす。どこかのホームページにネジ4本とあったが、6本のネジを外した。パネルを外してみると正面から向かって右の下のNコネクタ部分の2本はNコネクタを支えているネジであり外す必要はなかった。



     外したパネル(裏)




  分かりにくいがSWの金属ベロが外れかけている。

・早速SWをばらした。



・SWの回転体と完全に外した金属ベロ2個。ベロを支えるにしては穴が小さい感じがする。



・金属ベロをネジで止めた。0.5mmのドリル(と言っても指で回す100円ショップに売っているやつ)で穴を明け、時計用のネジで止めた。時計用のネジの手持ち数が少ないので1個ずつとして、接着剤併用で固定した。


・この様に固定した回転体は2個、あと2個はとりあえず大丈夫そうであった。


・さて補修した2個の回転体を組み立てるのにてこずった。取り付ける順番は覚えておいたし、写真も取ったつもりだったが、この写真では相対位置まで分からない。
・シャフトは3重になっており、一番外側のノブを押し込むとパネル側の回転体が動き、戻す(バネで戻る)と後ろ側(写真に写っている側)の回転体が動かせるようになっている。
・つまり押し込んだり、戻ったりのときにうまく回転体の定位置にピンが嵌るように相対位置を合わせる必要がある。これを理解するのに時間がかかった。2回ほど組んだりばらしたり。
・さて相対位置関係が分かったので、それを合わせて組み立てた。途中で確認したときには動いたが、全部組み立てると動かなくなった。れれ!
・どうも写真にある黒い歯車のようなものを外すとうまく動く。
・よく見ると、歯車のそばの茶色い物からピンが出ていて歯車にあたっている。歯車はSWを操作しない定位置でノブを押し込むときに歯と歯の間を通るようにし、押し込んだ状態で回転できるようにピンを通過させる位置に取り付けなければならない。また、戻った位置でも回転できなければいけない。


・何度もばらしてようやく組み上げた。
・組み上げたところで通電してみる。画面上部の2行目左端にREFレベルが表示される。まず真ん中のつまみで調整する1桁台の数値を合わせる。これはつまみで回すボリュームとその位置を読み取る円盤の位置関係をあわせる。これはSWをばらさなくても横からネジを緩めることで調整できた。



・さてリファレンスレベルをいろいろ切り替えてテストする。押し込んでATTを切り替える。押し込まずにIFゲインを切り替えリファレンスレベルを切り替える。うんん、何かおかしいぞ!SWのレファレンスレベルを0、−10、−20、−30、−40、−50と切り替えても画面のREFは0、0、−20、−20、−40、−40となる。うーーん、−10のレベルがおかしいぞ。
・でも、画面のノイズレベルは10dBずつ変化する。アジレントのホームページからダウンロードしたサービスマニュアルで回路を確認すると、画面表示はCPUで行っている。しかし、CPUは制御はやってなく表示だけのようである。つまり、CPUのIOの−10dBの信号読み取りが故障していることになる。
・回路図を調べ、疑わしいところに行き着いた。

・U33とマークされたICの6,7ピンがー10dB信号のレベル変換器だ。他のピンの抵抗値と比較するとこの入力の6ピンの抵抗値が無限大であり他と違う。回路図とパターンを調べ未使用の回路が右側に残っていることが分かったので、右側の回路にパターンカットとジャンパーで接続を変更した。




・接続を変更した写真





・これで、REF表示が正常になった。

(2008.12.24)



・ICが壊れた原因はなんだろう。経年変化かな?。でもここだけ?(他にもあるかもしれないが)
 SWのベロがはずれて、どこかのパターンと接触したかな?。これはSWと言うよりプリントパターンの一部がSWになっているようなものだから、外れたベロがどこかに接触したのが正解だろう(と考えよう)。
・他になにか不具合が無いか調べようとしたが、FANの音がとんでもなく五月蝿い。いままでの測定器(スペアナやSSG)の中で一番五月蝿い。FANを見てみるとAC100VのFANである。今時はパソコン用の静かなFANがあると言うのに。!そうだ。パソコンのFANと交換しよう。
・と言うことでFANを調べた。TOBISHIのS4****らしい。風量は2.3m3/minのようだ。大きさは120mm×120mm×38mm。パソコン用で同様のFANを探す。パソコン用FANの風量はCFM(feet3/min)なので、換算すると約82CFMとなる。同じ大きさと風量で探すとULTRAKAZEの2000min-1(rpm)タイプで120mm×120mm×38mm、87.63CFMがあった。
・早速注文して届いたFANとならべて写した写真。


・さて、FANは12V電源だが、0.25Aの電流を消費する。スペアナ内部の電源で15Vがあるが、容量は1A程度しかない。ここから0.25Aも取れない。小型の12V電源も必要だ!と言うことで100Vto12Vの小型スイッチング電源を探して入手した。
・スイッチング電源は電源まわりの隙間に設置した。
・交換したFANと電源の写真





更新2008.12.30



戻る